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7年前に消えた「AI予測マーケティング」が、半分だけ生き返った──Jevで御社が今やること

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第1回で、文章を書かないAI「Jev」が出た話を。第2回で、その正しい疑い方と、御社で入る場所・入らない場所を書きました。第3回は、7年前の話から始めます。

まず、この画面を見てください。

料金プランのページで、お客さんのマウスが「Pro」と「Business」の間を行ったり来たりしている。それを見て、右側のAIが「迷っている」と判定し、「説明を補うか、比較を出すか、そっと見守るか」を決めている。

発表から3日で、個人が作った試作です。

私は、これを見て思い出したものがあります。7年前に流行って、消えたものです。


7年前の夢:「AIが、買いそうな人を当てる」

2018年ごろ、「AI予測マーケティング」という言葉が流行りました。お客の行動をAIが見て、買いそうな人を当てる。買いそうな人にだけ営業する。大手の営業支援ソフトが、こぞって「AIによる予測」を看板にしました。

そして、中小企業には届きませんでした。理由は3つです。

① 自社の成約データが、千件単位で要った。 当時の代表的なソフトが「御社専用の予測」を作る条件は、過去半年に1,000件以上の見込み客があり、そのうち120件以上が成約していること。満たさない会社は、他社のデータで作った汎用の予測で我慢する。中小企業で、半年に120件成約する会社は多くありません。

② 成績表が、10日に1回だった。 予測の点数は、10日ごとに計算し直す仕組みでした。お客が今この瞬間に迷っていても、点数が変わるのは来週です。

③ 値段。 大手向けのソフトは、中小企業の売上規模に合いませんでした。

そして届いた大手の会社でも、うまくいかなかった。調査会社のGartnerは2019年12月に、こう予測しています。

2025年までに、パーソナライゼーションに投資したマーケターの80%が、投資対効果の欠如か、顧客データ管理の困難か、その両方を理由に撤退する

データが最大の壁だと答えたマーケターは27%。つまり、モデルの問題より、データと効果測定の問題で消えた、というのがGartnerの見立てでした。


Jevが消したもの:3つ

左「7年前の壁」と右「Jev」の対比。①自社の成約データが半年で1,000件・成約120件 → 要らない(問いと選択肢を渡すだけ。0件で始められる)。②成績表が10日に1回 → 0.5秒(その場で判定が返る)。③値段 → 質問3つで約0.003円(25問を一度に聞いても時間はほぼ同じ)。

学習データが、要らなくなった。 Jevは「御社のデータで学習する」ことをしません。「この人は迷っていますか」という問いと、「はい・いいえ」という選択肢を渡すだけです。千件の成約データは要りません。0件で始められます。

10日が、0.5秒になった。 第1回で書いた通り、返事は0.07〜0.5秒。お客がマウスを迷わせている、その場で判定が返ります。冒頭の試作は、まさにそれです。

値段が、ほぼゼロになった。 質問3つで約0.003円。しかも「迷っているか」「関心はどこか」「予算帯は」「急いでいるか」を25問まで一度に聞いて、時間はほぼ同じです。

7年前に中小企業を弾いた3つの壁は、9月15日に、消えました。


Jevが消していないもの:4つ

ここからが、この連載で一番言いたいことです。

Gartnerが「8割が撤退する」と言った理由は、この3つの壁ではありません。 投資対効果と、データ管理でした。そして、そこはJevが触りません。

左「消えた壁」3つ(学習データ・10日おき・値段)が薄い色。右「残った壁」4つが濃い色:①計測を自分で仕込む(お客の動きを自社サーバーに集める仕組みは、7年前と同じで自分で作る)。②迷っている客に、何を出すか(Jevは打ち手を作らない。言い方は文章AIが作れるが、何を言っていいかは御社が決める)。③効いたかを、測る(Gartnerの「投資対効果の欠如」はここ)。④判断の質(第2回:ルールに負けた例、日本語は未検証)。下に一行「7年前はモデルが買えなかった。いまはモデルはほぼ無料で、それ以外が全部残っている」。

① 計測は、自分で仕込む。 冒頭の試作は、お客のマウスの動きをページに仕込んで拾っています。Jevに渡すのは、その「拾った動き」です。拾う仕組みは、Jevが作ってくれません。7年前と同じで、自社で作るか、頼んで作ってもらうかです。絵本のサイズの記事で書いた「型を整えるのが先」は、ここでも変わりません。

② 迷っている客に、何を出すか。 「迷っている」と分かったとして、その場で出す説明・比較・声かけを、御社は用意していますか。Jevは判定を返すだけで、打ち手は作りません。打ち手が無ければ、判定に価値はありません。 Gartnerの「投資対効果の欠如」は、ここで起きます。(説明や比較の「言い方」は、文章を書くAIに作らせる手があります。冒頭の試作はそうしています。ただし「何を言っていいか」は御社が決めるものです。この話は最終回で。)

③ 効いたかを、測る。 声かけをして、買ってもらえたのか。それはJevとは別の仕組みで測ります。7年前に8割が撤退した理由の半分は、これを測れなかったことです。

④ 判断の質。 第2回で書いた通り、単純なルールに負けた試験があり、自信の数字は当てにならず、日本語は未検証です。「迷っている」の判定が当たっているかは、御社のお客で試すまで分かりません。

もう一つ、当たり前のことを。来訪者が少なければ、判定することがありません。 月に数百人しか来ないサイトで「その場で迷いを判定」しても、動く件数がない。これは出典のある話ではなく、算数です。

まとめると、こうなります。

7年前は、モデルが買えなかった。いまは、モデルはほぼ無料で、それ以外が全部残っている。


法律の話を、少しだけ

7年前は「Cookieが規制されて、行動は追えなくなる」と言われていました。この前提は、変わりました。

  • Googleは **2025年4月に「ChromeでサードパーティCookieを廃止しない」**と決めました
  • 日本の外部送信規律(改正電気通信事業法、2023年6月施行)は、利用者の端末から外部へ情報を送らせる場合の規制で、自社サーバーへの送信は対象外です。自社の宣伝だけのサイトも対象外です

つまり、自社サイトのお客の動きを、自社のサーバーに集めて、判定だけ外に投げる構成なら、7年前より見通しは良い。ただし、その行動データがお客の個人情報と結びつく場合、外のAIに渡すには個人情報保護法上の整理が要ります。ここは法務に確認してください。私は弁護士ではありません。


御社が、今やること3つ

入れないでください。 Jevは順番待ちで、仕様は週単位で変わっています(発表3日で1.13版)。今入れても、来月には違うものになっています。

代わりに、この3つを。

1. 来年の見積もりの前提を、1つ変える。 「振り分け・採点・○×」にAIを使う費用を、これまでの100分の1で見積もり直す。「AIは高いから」で止めていた判断業務があれば、その理由は消えました。

2. 判断の基準を、言葉にしておく。 「急ぎ」とは何か。「怒っている」の3段階はどこで分けるか。「受付できない」の条件は何か。——これは、そのままJevに渡す問いと選択肢です。言葉にできていない判断は、Jevにも頼めません。逆に、言葉にした瞬間、Jevが来なくても部下に渡せます。

3. サイトの計測は、自社に集める構成にしておく。 外部のタグに任せきりにせず、お客の動きが自社サーバーに残る形に。上に書いた通り、法律の見通しも、この構成が一番良い。


向いていない場合

  • 月の問い合わせや来訪が数十件——判定する件数がありません
  • 判断の基準を、まだ言葉にできない——Jevに渡すものがありません
  • そもそも受け皿のシステムが無い——判定が返っても、書き込む先がありません

こういう場合は、Jevの前に、データを整える話のほうが先です。


次回への導入:「打ち手」は、書くAIに任せられないか

残った壁の②で、「Jevは打ち手を作らない」と書きました。

でも、冒頭の試作を見返してください。「迷っている」と判定した右側で、説明を補う文章を出しているのは、文章を書くAIです。Jevが採点し、文章AIが書く。二人一組で動いている。

この組み方は、予測マーケティングに限りません。文章AIに返信案を書かせている会社なら、その返信を送る前に、Jevに「値引きを約束していないか」「社外秘に触れていないか」を5問、0.5秒、ほぼゼロ円で検査させられる。今まで検査は「人がやるか、やらないか」でした。その値段が、変わりました。

最終回は、この「書く係と採点係」の組み方と、それでも全自動にしてはいけない理由を書きます。実は、この連載で一番言いたかった話です。

→ 第4回:「書くAI」と「採点するAI」をつなぐと、何が起きるか──全自動ではなく、「検査付き」がタダになる


出典・参考

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